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【回顧2019】指揮官に聞く①新潟医療福祉大・佐藤和也監督

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2019年も残りあとわずかとなった。今季、新潟の野球界をけん引してきた3人の指揮官に2019年の自チームを振り返ってもらい、来季への期待と展望を語ってもらう。第1回は新潟医療福祉大を率いて7年目のシーズンを終えた佐藤和也監督(63)。関甲新1部で初のリーグ優勝を狙った今春はまさかの全敗で6位となり、その後の入れ替え戦でなんとか1部残留を決める内容だった。しかし秋は一転、投打が噛み合い、優勝した白鷗大から勝ち点を奪うなど6勝5敗と勝ち越し。最後まで上位争いを演じた末、勝ち点3の4位となった。4年生は卒業するが、チームの中心に成長した2、3年生を軸に、来季は創部初の優勝を目指す。

今季を振り返る新潟医療福祉大・佐藤和也監督

Q今季を振り返って。
佐藤監督(以下佐藤)「去年秋のリーグ戦が終わった後に、エースの飯塚亜希彦(4年・上越)が右ひじの手術をした。今春のリーグ戦には間に合う予定だったが、復帰がずれ込んでしまった。チームとして投手陣を含めみんなでカバーしようと努めたが、力が出せず最下位になってしまった。ただ、飯塚が帰ってきたことで、春の入れ替え戦では一部残留を決めることができた」

Q春のリーグ戦は予期せぬ10戦全敗…そこからの立て直しは。
佐藤「春の戦いで、エースがいないことはこんなに厳しいものなのかとみんなが分かった。高校野球では少し投手力が弱くても打でカバーできる部分はあるが、大学野球では投手を含めたディフェンス(守り)がしっかりしないと上のレベルでは一気に戦えなくなる。飯塚1人がいないだけでこれだけガタつくのかと実感した。ただ、ほかの投手陣が夏場のオープン戦で頑張って成長したことが、秋の結果につながった」

上位を狙った春のリーグ戦では10戦全敗 エース不在が響いた

Q秋は開幕で山梨学院大に連敗したが、そこから5連勝だった。
佐藤「夏のオープン戦からいい形で戦えていた。秋は期待していた。第2節の作新学院大戦で連勝。飯塚、左腕の桐敷拓馬(2年・本庄東)、伊藤開生(3年・成城)を中心とした投手陣がしっかり投げてくれ、守備で自信を持てたことが打撃に集中でき、結果につながっていった。振り返れば春のリーグ戦で全敗だったが、負ける中でも粘り強く戦うことを憶えたことで、秋は1点差でも勝ちぬける力がついた」

Qハードオフ・エコスタジアムでの平成国際大との第2戦では桐敷投手が延長10回を投げ、リーグ最多記録タイの1試合18奪三振を記録した。
佐藤「あの試合の前から徐々によくなっていたが、あの試合は特に出来がよかった。体重を乗せて、腕をしっかり振るフォームが固まった。9回でも146キロ、10回でも145キロが出た。チェンジ、カット、スライダーもキレがある。投げっぷりもよく、笠原(祥太郎=中日)の2年生の時よりもいい。このまま故障なく成長していってほしい」

新潟医療福祉大・桐敷拓馬(2年・本庄東)
9月22日の平成国際大との第2戦で18奪三振のリーグ最多タイ記録をマークした

Q右の伊藤投手もさらなる飛躍が期待される。
佐藤「春のリーグ戦の後に強烈に叱咤した。『何のためにここに来たのか』と原点に戻らせた。『周囲から本当にプロを目指しているように見えるか?誰が見てもプロを目指しているようにしてみろ』と言った。そこから吹っ切れたようによくなった。まだ100点ではないが、白鷗大戦でもいい投球を見せた。3年生なのであと一冬ある。150キロに迫る素晴らしい直球を投げる。来年は4年生の自覚が出てくれば上が見えてくる投手になる」

Q4年の飯塚投手は4勝を挙げ、最多勝のタイトルを獲得した。
佐藤「豪腕タイプではないが粘り強く試合を作っていける力がある。多少安打を許しても大崩れしない。4年生としてのエースの自覚があり、そこに支えられてチーム全体が精神面で成長できた。社会人チーム(富山・ロキテクノベースボールクラブ)入りが決まっているので、そこでさらに上を目指してほしい」

大学最後のリーグ戦で最多勝のタイトルを獲得した飯塚亜希彦(4年・上越)

Q秋は4位だったが、優勝した白鷗大から勝ち点を挙げた。
佐藤「リーグの中で唯一、白鷗大から勝ち点を奪えた。選手にも自信にったのではないか。野手では荒木(陵太・3年・日本文理)が最後にサヨナラ打を打った。打撃では文句なしにリーグを代表する選手になっている。1年生の荒井(朋範・上田西)が長打力も足もある選手で外野手のベストナインに輝いた。坂井翔太(1年・中越)、笠原遥也(2年・日本文理)ら、県内の高校野球で活躍した選手がレギュラー争いに絡んできている。そこがうれしい。エコスタでの試合を見た人から『高校時代にライバルだった選手たちが同じチームで、県外の大学と戦っているのが壮観だった』と感想を言われた。県内から集まった選手、県外から来た選手、それぞれが切磋琢磨し、力を高めてくれている。確固たる1部校としての足掛かりができた。いい秋だった」

秋のリーグ戦で外野手のベストナインに輝いた荒井朋範(1年・上田西)

Q新から主将に任命された横田勝大(3年・横浜商)主将については。
佐藤「最高のキャプテンシーを持っている。自分でもしっかり練習するし、周りにも言える。自分に多少結果が出なくても、鼓舞する力がある。主将としてしっかりやっている。春まで主将だった大藪(将也・4年・上田西)と捕手の柴崎大悟(4年・前橋育英)が自ら学生コーチを名乗り出てくれた。春の最前線で試合に出ていた2人が秋も学生コーチとして残ってくれたのは精神面でも大きかった」

秋から主将を務める横田勝大(左から3番目)
4年生の大藪将也(右端)と柴崎大悟(右から2番目)が学生コーチとして支えた

Q来季への期待は。
佐藤「投手陣では飯塚が抜けるが、桐敷、伊藤の2人を中心に稲垣優斗(3年・日本文理)らの2、3年生が成長してくれば、春はトップにチャレンジできる陣容になる。野手は今季も西野(護・3年・村上桜ヶ丘)、須貝祐次郎(3年・村上桜ヶ丘)ら2、3年生が中心だった。そこに期待の1年生も入学してくるので競争が激しくなるので非常にいい形で入っていけるのではと思う。この秋は優勝争いをできる足掛かりができた。来年は優勝に挑む、初めての年にしてほしい。上武大、白鷗大という上位の中に新潟医療福祉大が入っていけるようにならなければ。飛躍の1年にしたい」

(取材・撮影・文/岡田浩人)


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