4日に閉幕したJABA選抜新潟大会に懐かしい顔があった。
山形・きらやか銀行の2番打者でショートを守る長谷川徹選手。24歳。
新潟市南区の出身。日本文理高校でキャプテンを務めた。
中央学院大学を卒業後、きらやか銀行に入社して3年目を迎えた。
「高校時代以来ですね、地元の新潟で公式戦に出るのは・・・」
そう言って笑顔を覗かせた。
日本文理高校ではキャプテンとしてチームをまとめ、2006年に春夏連続で甲子園に出場。特に春の選抜甲子園では1回戦の高崎商業戦で勝ち越しタイムリーヒットを放ち、全国で唯一「選抜未勝利県」だった新潟県に初勝利をもたらした。春2勝を挙げベスト8に進出。元阪神タイガースのピッチャー・横山龍之介さんは同期だ。
「高校時代の思い出は、やっぱり春の選抜甲子園に出たこと。そこまで春は新潟県が勝ったことがなかったので勝てて嬉しかったですね」
高校時代はショートから冷静に試合を分析し、どんな時でも落ち着いて見えた長谷川選手。選抜ベスト8後の2006年6月、鳥屋野球場に選抜優勝校・横浜高校を迎えた招待野球で、日本文理は最終回に同点に追い付き、なおも二死満塁で長谷川選手に打席が回った。選抜優勝校相手にサヨナラ勝ちのチャンスを迎え、鳥屋野球場を埋めた満員の観衆は興奮に包まれた。その中で打席に立つ長谷川選手だけが冷静にボールを見極めていたことが強く印象に残っている。
「懐かしいですね。結局あの打席は三振して試合終了(笑)。でも僕たちの代は甲子園でいい結果出せたので良かった。自分たちの時はとにかく甲子園に行きたいというのが強くて、がむしゃらに練習をしてました」
長谷川選手たちの活躍を見て、日本文理高校に進学を決めた当時の中学3年生が2009年夏の準優勝メンバーだ。その後の新潟県勢の躍進の礎となった。
「それまでは北信越大会でも勝てなかったので、自分たちの時に(2005年秋に)北信越大会で準優勝して選抜に行けたのは大きかった。その結果がその後、どんどん強くなっていった代につながっていったのかな」
高校卒業後は中央学院大学へ進学。4年時にはキャプテンを務め、大学野球選手権でベスト8に進出。ベストナインも3回獲得した。
現在は山形市内の支店で融資を担当している。シーズン中は午前中に練習、午後からスーツに着替えて仕事に向かう。「最初は仕事と野球で、生活のリズムに慣れないこともありました。もう3年目で慣れましたが」・・・その話し方に少し山形のイントネーションが混じる。
初めて参加したJABA選抜新潟大会では、3試合に出場し9打数3安打。持ち前のシュアな打撃、バランスの良い守備を見せた。チームは4日の3位決定戦に勝利。久しぶりに新潟の青空のもとで野球を楽しめた。
「山形へ行ってからは、なかなか自分のプレーを見せることができなかったので、親や親せきに自分の試合を見せることができて嬉しかったです」
高校、大学と全国の舞台で活躍した長谷川選手。社会人でも全国の大舞台でプレーすることを目指す。
(取材・撮影・文/岡田浩人)