第98回全国高校野球選手権・新潟大会は16日、4球場で3回戦8試合がおこなわれた。悠久山球場では第3シードの長岡大手が昨秋県大会準優勝の村上桜ヶ丘を劇的な逆転サヨナラでくだし、ベスト16進出を決めた。このほか、第1シードの新潟明訓、十日町、第2シードの北越、昨夏優勝の中越、昨秋県優勝の日本文理、第4シードの長岡工、村上が4回戦進出を決めた。17日も3回戦8試合が予定され、ベスト16が出そろう。
悠久山①長岡大手6-5村上桜ヶ丘
逆転サヨナラ打を放ち一塁上で喜びを表す長岡大手・池田誉等(たから)選手(右・3年)
◎16日の3回戦の試合結果◎
<鳥屋野>
①新潟明訓9-2三条商(7回コールド)
三商 000 000 2 =2
明訓 100 143 × =9
(バッテリー)
三商:佐藤、市野瀬-布施
明訓:廣田、梶山-中村
(本塁打)
明訓:栗山(5回・2点)
新潟明訓の先発①廣田祥一朗投手(3年)
4回裏、新潟明訓が中村賢弥選手(3年)の適時二塁打で追加点 この試合3打点の活躍
5回裏、新潟明訓が1死2塁から三番・栗山謙主将(3年)が2点本塁打
◇新潟明訓・本間健治郎監督の話◇
「投手に落ち着きがあった。前回よりは(捕手の)中村が落ち着いてリードしていた。廣田は安定感があった。野手が守備機会がある投球で行ってくれると、他の投手も見習える。(梶山は)気負い過ぎで普通に投げればいいのだが・・・周りが見えない状態になるので、もっとシンプルにやってほしい。投手4人はここまで大会の雰囲気や暑さや、自分のボールの状態がわかったと思う。ここからはもっと1球1球シビアになる。(2試合連続本塁打の)栗山は今までの自分のスタイルにこだわらず、少し成長した部分があると思う。一皮むけた感じがある。余計なこだわりがなくなった。中村はタイミングをつかめる1つのきっかけになればと思う」
◇新潟明訓・栗山謙主将の話◇
「全力でやれば結果もついてくる。全力で行った結果が守備と打撃につながったと思う。(本塁打は)崩されたので行ったとは思わなかった。うまく体重が残っていたのでいい結果につながった。いい感じで大会に入ることができている。春は何が何だか自分でもわからなかった。今はいいイメージで打席に入ることができている。守備からしっかり落ち着いて打撃に入ることができ、春より成長できていると思う」
②十日町3-1佐渡
佐 渡 000 000 010 =1
十日町 000 002 01× =3
(バッテリー)
佐 渡:野﨑、菊地-田辺
十日町:小林大-南雲
十日町の先発①小林大蔵投手(3年)
6回裏、十日町が三番・山田諒多朗主将(3年)の左前適時打で先制 さらに追加点も
勝利を決め、マウンド上で喜びを表す十日町・小林大蔵投手(中央)
◇十日町・関井徹監督の話◇
「(小林は)よく投げた。上越高戦の完封でよく投げたが、ここからが本当の勝負だと言っていた。本当によく投げた。秋春と逆転負けをして、1点差で悔しい思いをした。そこから必死に練習してきたのでこういう投球になった。もともと持っているものはよかったが、土壇場で苦しくなると抑えに行こうという気持ちが強くなり過ぎ、それでボールが高めに行き、長打にだれてきた。春から野手と連動して打ち取るということをやってきた。8回のピンチでもよく内野ゴロを打たせて帰って来たなと。そういう部分が成長。(打撃は)佐渡高校の投手はいいと聞いていたので、前の試合から徹底して真っすぐを振り込んできた。ベンチもスタンドも、全員の力で打つことができた。秋春で負けて、この夏の大会中に成長させてもらおうと考えてきた。これでチームも勢いに乗る」
◇十日町・小林大蔵投手の話◇
「きょうは調子が悪かったので、(最後打ち取って)ほっとした。練習から後半勝負の意識でやってきた。秋春の負けが悔しくて、走り込みから誰にも負けないようにと走ってきた。朝4キロ、夕方4キロ、夜4キロと走り込んできて、成果が少しずつ出てきた。今までは三振に頼って、後半に続かなかった部分があり、野手を信じて投げるように心がけた。助けてもらった。(1点返されても)後半勝負と思ったので焦らなかった。(4回戦は新潟明訓戦だが)春優勝のチームだが、自分たちの野球をすれば戦っていける。しっかりやっていきたい」
<五十公野>
①北越7-0常総川久(7回コールド)
北越 010 303 0 =7
常総 000 000 0 =0
※常総川久は柏崎常盤・柏崎総合・川西・久比岐の連合チーム
(バッテリー)
北越:小林、江村、玉木-皆川
常総:久保-佐藤
②中越3-0新潟南
新南 000 000 000 =0
中越 000 010 11× =3
(バッテリー)
中越:今村-広川
新南:三ツ井-田村真
<悠久山>
①長岡大手6-5村上桜ヶ丘
村上桜丘 104 000 000 =5
長岡大手 001 010 004× =6
(バッテリー)
村上桜丘:稻垣-久志田
長岡大手:南田-浅野
村上桜ヶ丘の先発①稻垣健太投手(3年)
3回表、村上桜ヶ丘は満塁から四番・西野護選手(3年)が中越え2点適時二塁打を放つ
3回表、村上桜ヶ丘は六番・若林大成選手(2年)も中前適時打を放ち、序盤で5点をリード
5回裏、長岡大手が一番・池田誉等選手(3年)の中前適時打で3点差に
3点を追う9回裏、長岡大手・鈴木春樹監督が「池田に回せ」と檄を飛ばす
9回裏、3本のヒットで1死満塁から代打・内藤優作選手(2年)が左前適時打
悪送球の間に二塁走者・浅野柊平選手(2年)もホームイン 1点差に
1死2、3塁から一番・池田誉等選手が投手強襲の中前サヨナラ適時打
長岡大手が9回裏に4点を入れ劇的なサヨナラ勝ち
◇長岡大手・鈴木春樹監督の話◇
「長岡大手高校も強くなったと思う。(9回裏の指示は?)作戦は特にない、一番の池田に回そう、と。兄は県央工で面倒を見たが、その弟で…普通の人間の50人分くらい私に怒られた選手。最後の最後に、『池田はいいバッターだから、池田に回せ』と初めて褒めた。高校生はわからない。(南田は5点を先行され)変化球が抜けていた。あまりよくなかった。相手の監督を意識してウエストし過ぎて苦しめてしまった。春の(準決勝の)北越戦で7点差を1点差まで追い詰めたことが生徒の自信になっている。この試合をきっかけに一歩一歩、甲子園に近づいてきたなと思う。(4回戦は)きょうの勝ちを無駄にしないようにしたい」
◇逆転サヨナラ打の長岡大手・池田誉等選手の話◇
「監督が自分に回せ、と言ってくださって、みんなも池田に回せと。ここで打たなければ男じゃないと思った。チームのみんなに感謝して、自信を持って、打てると思って打席になった。打ったのは落ちる球で内角の低め。来た球を打つしかないと思っていた。自分たちが今までやってきたことが間違っていなかったと感じた。(敗れた)小千谷西や村上桜ヶ丘の気持ちも持って、次の試合も戦いたい」
◆村上桜ヶ丘の四番・西野護選手の話◆
「ずっとリードしていたが、高校野球の怖さを改めて感じた。球場の雰囲気に押されているものを感じた。そうなったのも、9回表に自分がチャンスで三振をしてしまったから。相手の気持ちが強かった。中学の時から(松田)監督に高校野球を教わりたいと思い、入学した。監督を甲子園に連れて行きたかった。最後は悔しかったが感謝している。(今後は)できるならば大学で野球をやりたい」
②日本文理7-0塩沢商工(7回コールド)
塩沢 000 000 0 =0
文理 202 201 × =7
(バッテリー)
塩沢:貝瀬太-田中
文理:西村、藤塚-川村
(本塁打)
文理:斉藤(6回・ソロ)
塩沢商工の先発①貝瀬太介投手(3年)
1回裏、日本文理は三番・川村啓真選手(2年)の中犠飛で1点を先制
1回裏、先頭打者として三塁打を放った荒木陵太選手(3年)が犠飛で先制ホームを踏む
日本文理の先発⑱西村勇輝投手(2年) 自己最速の140キロを計測した
6回裏、日本文理は齊藤輝一選手(3年)が右越えソロ本塁打を放ち、7点目
塩沢商工ナイン 昨夏は開幕戦で敗れたが今大会は第6シードを破って3回戦に進んだ
◇日本文理・大井道夫監督の話◇
「西村は初めての先発。練習試合でいい結果を出していたが、本番はどうかなと思ったが、落ち着いて投げてくれた。藤塚は心配したが3年生の意地もある。それに懸けようかと思った。(打撃は)ダメ。これから帰って打撃練習をやる。ウチの苦手なタイプの投手だった。フライを打つなと言っていたのだが、それを徹底しないと。これから強いチームと当たるが、こんな打撃では勝てない。長岡大手戦は悠久山で地元。受け身になったら負ける。攻めなければダメ」
◇日本文理・西村勇輝投手の話◇
「前日から先発を言われていたのでしっかり準備できた。まだできなかった部分もあり、次はしっかりしたい。(春以降は)球速や球のキレ、スタミナをしっかりやってきた。きょうよかったのは真っすぐ。しっかり指がかかるようにキャッチボールから意識してきた。(一時Bチーム落ちも)悔しかったが腐ってはいけないと思い、しっかりやってきた。(大会直前にベンチ入りが決まったが)うれしかったが、もらったからにはしっかりやらなければと思った。(4回戦へ)しっかりやることをやって甲子園に出なければいけない。そこに向かってしっかり頑張りたい」
◆塩沢商工・貝瀬太介投手の話◆
「(目を真っ赤にして)文理とやりたかったが、真っ向勝負で勝つという気持ちで臨んだ。(手応えが)2回まではあったが、ローボールの意識でいったが、緊張もあり高めに浮いてしまい、それを打たれた。(去年は開幕戦で敗退。この1年を振り返って)右肩のケガやいろいろとあって、苦しい時期もあったが、それを乗り越えてきて、3回戦までみんなで勝ち進めてうれしい。(今後の野球との関わりは)ここで終わりたくないので、大学へ行って野球を続けるか、今後考えていきたい」
<佐藤池>
①長岡工3-2新津工
新津工 010 000 100 =2
長岡工 200 001 00× =3
(バッテリー)
新津工:土田-渡邊
長岡工:黒坂、藤塚-小川
②村上4-0関根学園
村上 300 001 000 =4
関根 000 000 000 =0
(バッテリー)
村上:佐藤悠-野沢
関根:本間-藤澤
◎17日の3回戦の試合予定◎
<鳥屋野>
①柏崎(10:00)新津
②長岡商(12:30)新潟青陵
<五十公野>
①帝京長岡(10:00)新発田中央
②長岡(12:30)五泉
<悠久山>
①高田北城(10:00)加茂暁星
②糸魚川(12:30)新潟
<佐藤池>
①新発田南(10:00)六日町
②三条東(12:30)巻
(取材・文/岡田浩人 取材/松井弘恵 情報協力/各地の皆様)