今夏の甲子園に新潟代表として出場した中越の主将で四番を務めた小鷹葵選手(3年)と、甲子園のマウンドで好投した山田叶夢投手(3年)の2人が、このほど青山学院大にスポーツ推薦で合格した。現在は東都大学野球連盟2部の同大は1部昇格を目指している。2人は「早くレギュラーになり、大学でもバッテリーを組みたい」と意気込んでいる。
青山学院大に進学が決まった中越の3年生 小鷹葵(左)と山田叶夢
小鷹は燕市出身で、中越では2年春からベンチ入りし正捕手に。2年夏には中軸を任され新潟大会準優勝。2年秋から主将となりチームをけん引した。今夏は四番打者として打率・520、3本塁打、10打点と活躍した。
山田は村上市出身で、新発田シニアを経て中越に入学。1年秋からベンチ入りし、2年夏には新潟大会決勝で好投も準優勝。今春、左ひじを痛め手術を経験したが、甲子園1回戦では敗れたものの慶応を相手に3度マウンドに上がり、好投を見せた。
小鷹は法学部、山田は社会情報学部にそれぞれスポーツ推薦で合格。中越高校の野球部からが青山学院大に進学するのは渡邉雄大(ソフトバンク育成)以来9年ぶりで、2人同時は初めてだという。
本田仁哉監督は「2人は野球の能力において、高卒後も限りなく高いレベルに挑戦できる技能を持っていたが、直接プロを目指すにはまだ及ばない部分がある。ただ2人とも学力も高く、人間的な幅も持っている。大学4年間でいろいろな知識など世界を広げて、高いレベルで野球をすることが将来的にベストな選択だと考えた」と大学進学を勧めた理由を話した。ことし2月に青山学院大に練習参加したところ、山田の投球を2球見た河原井正雄監督が「いい投手だ」と高く評価。夏の新潟大会の小鷹の打撃を首脳陣が見て、2人の進学の話が進んだという。
本田監督は「いろいろな卒業生を見てきて、声をかけていただいたところに行くことが、その後の4年間を幸せに過ごせる、と考えてきた。一日でも早くレギュラー争いをしてほしいし、高い志を持てばプロや社会人への活躍の場が広がるのでは」と期待を寄せた。
今夏の新潟大会では打率・520、3本塁打、10打点と活躍した小鷹葵
今春の手術後、甲子園で復活投球 3度マウンドに上がり好投した山田叶夢
2人への一問一答は以下の通り。
Q青山学院大の印象は?
小鷹「有名な大学に入学できることは嬉しい。2月に練習参加をした時に甲子園で活躍した選手が大勢いた。力のあるチームだと思う」
山田「勉強のレベルも高いという印象。2月の練習参加では個人で必要な力をつけることができる場所だと感じた。その時から行きたいと思っていたので決まってよかった」
Q大学進学を希望した理由は?
山田「プロの世界は高校からでも行きたいとは思っていたが、ケガもあり、大学に行って、力をつけてプロに行くことを目標に考えた」
小鷹「正直、今のままでは(プロでは)通用しない。自分は上のレベルを見た方が刺激になる。中越にも入った時はチームメイトを上に見ていた部分があって負けないように頑張ろうと思ってきた。大学でも刺激を受け、将来はプロや社会人でプレーできるように頑張りたい」
Q中越で成長できた部分は?
山田「入学時は(球速は)120キロくらい。体も小さく球速もなかったが、指導者の教えやトレーニングで141キロまで上がった。野球以外の生活でもしっかりするようになり、人間性を変えることができ、甲子園でもいい投球ができたと思う」
小鷹「本田監督と出会えて、野球観が変わった。こうやれば甲子園に出れるということがわかった。学校生活で指摘されることは、甲子園で勝つため、素早い判断ができるために指摘されていたことを知った。そういうことを意識した結果が自分の成長につながった」
Q大学での目標は?
小鷹「大学として東都1部に行くことが目標。個人的には(同期で)いい捕手が入ると聞いているので、自分の技術を向上させること。2人でバッテリーを組むことも目標」
山田「2人でバッテリーを組んで1部に上げる、という目標はある。個人では投手に専念できるので、1年生からリーグ戦に投げること、早い段階で主戦で投げることができることが目標。しっかりトレーニングを積んで、最終的にはプロで戦える実力をつけたい。150キロを出すことが目標。制球もよくしたい」
2人を指導してきた本田監督は「2人は引退後も緩むことなく練習に励んでいる。2人の今後の活躍はこれからの中越の財産になる」とエールを送る。甲子園を沸かせたバッテリー2人が、今度は神宮を沸かせるため、さらなる向上を誓っている。
(取材・撮影・文/岡田浩人)