第98回全国高校野球選手権大会に新潟代表として出場、11日に初戦を迎える中越高校のベンチ入りメンバーを紹介する。
①今村豪(いまむら・ごう 3年・投手)
湯沢中 165センチ68キロ 左投左打
新潟大会では投打で活躍。優勝の原動力となった。エースとして全6試合に先発。直球は130キロ前半だが、打者の手元で伸びる。制球もよく大崩れしない。強気の投球が光る。「1歳上のエース上村(将太)さんが中越でやっていて、憧れの先輩と一緒に野球をやりたかった」と中越へ。春の県大会4回戦(北越戦)で「自分の失投から4失点した。失投をなくせば夏は勝てると考えた」。以後、ブルペンではカウントを設定し、打者を立たせて、「2ストライクからの1球の制球の精度を上げた」という。打撃では4回戦(北越戦)で満塁本塁打、決勝(新潟明訓戦)でも満塁の走者一掃の三塁打を放つなどパンチ力を見せた。甲子園では「まず1勝。自分が全力プレーすることで長岡市の人や新潟県内の人に感動を与えられたら」と話す。
②広川健介(ひろかわ・けんすけ 3年・捕手)
長岡西中(長岡東シニア) 174センチ64キロ 右投右打
昨夏の甲子園では2年生で唯一のベンチ入り。その経験をチームに伝えてきた。入学時は内野手だったが、強肩とその頭脳をいかすため2年春に捕手に転向した。投手の持ち味をいかすリードが持ち味。主将として、去年のチームと比較される中、「弱い弱いと言われ本当に悔しかった。その気持ちだけで厳しい練習を続けてきた」。下馬評を覆しての2連覇に、「優勝旗が返ってきた時は本当にうれしかった」と話す。「目の前の1球、ワンプレーに全力でやってきたからこそ優勝できた。甲子園だからと特別なことはせず、新潟大会と変わらず機動力やバントをいかして1点ずつ積み重ねたい」
③西山侑汰(にしやま・ゆうた 3年・一塁手)
上越・城東中(上越シニア) 171センチ71キロ 右投右打
不動の四番打者。新潟大会では打率.458で8打点と勝負強さを見せた。「春は全然打てなかった。夏は絶対に打ってやろうと朝6時すぎに寮を出て練習をしてきた」という努力が実った。中学時代、「県大会で見た中越のチームがカッコよくて進学を決めた」。しかし「練習がキツくて、1年生の時はやめたいと思うことが何度もあった。でも誰よりも負けないくらいの練習が報われてよかった」と話す。甲子園では「緊張すると思うが、持ち味の粘り強い打撃でチームに勢いをつけて、校歌を歌いたい」と静かに闘志を燃やしている。
④岡田拓磨(おかだ・たくま 3年・二塁手)
五泉・愛宕中(新潟西シニア) 174センチ74キロ 右投左打
瞬時の状況判断に優れた二塁手。中学時代は新潟西シニアで全国大会に出場した経験を持つ。1年秋にベンチ入りも、2年春に足をケガをし、ベンチから外れた。「その時にやめたいと思ったが、頑張ってよかった」と話す。「去年秋と今年春に負けた時も、選手の中で『自分たちは無理だ』という人間は1人もいなかった。それが大きかった」と振り返る。甲子園では「新潟大会ではなかなか結果が出なかった。しっかり打ってチームの勝利に貢献したい」と決意を話す。
⑤坂上顕士(さかがみ・けんし 3年・三塁手)
新津第五中(新津五泉村松シニア) 170センチ70キロ 右投右打
堅実な守備が持ち味。三塁手として新潟大会では無失策で、「どんな打球が飛んできても捕れる自信がある」ときっぱり。試合を想定したノックを毎日の練習で受け続け、鍛えてきた。広角に打てる打撃とバントなど小技も持ち味で、中軸と下位をつなぐ貴重な役割を果たす。去年夏、新潟大会ではベンチに入っていたが、甲子園ではベンチ入りメンバーから外れた。「悔しかった。最後の夏に甲子園でプレーしたいと思ってきた。悔いのないようにプレーしたい」と強い決意で臨む。
⑥齊藤隆弥(さいとう・りゅうや 3年 遊撃手)
糸魚川東中(上越シニア) 167センチ67キロ 右投右打
トップバッターで、内野の要の遊撃手。打席で構えた後、インパクトの瞬間に一度バットを下げる独特なフォームが目を引く。「タイミングを取りやすい」と春の県大会以降、このフォームで結果を残してきた。1年の夏休みに「練習がつらくて、ついていくのがやっとだった。ご飯が食べられず体重が落ちた」と苦笑い。その厳しい練習を乗り越え、レギュラーの座を手にした。甲子園では「先のことは考えず、目の前のことに全力で取り組む」と話し、「去年歌えなかった校歌を歌いたい。塁に出たら積極的に走りたい」と意気込んでいる。
⑦串田大地(くしだ・だいち 3年 外野手)
亀田中(新潟シニア) 186センチ83キロ 右投右打
身長186センチの大型の五番打者。夏の大会の直前、エコスタでおこなわれた新潟工とのメンバー外3年生による“引退試合”で左越え本塁打を放ち、逆転でベンチ入りを決めた。チーム一の長打力だけでなく、犠打や盗塁など機動力を発揮するプレーでもチームに貢献する。新潟市の実家を出て、「寮に入ることで精神面が鍛えられる」と中越へ。ただ新潟大会では「持ち味の長打力が発揮できず、まだまだ」と反省する。甲子園では「持ち味のフルスイングで長打を打ちたい」と力を込める。
⑧大越晃(おおこし・こう 3年 外野手)
新発田・川東中(新発田シニア) 179センチ70キロ 左投左打
守備範囲が広いセンター。左中間、右中間の当たりも50メートル6秒の俊足を飛ばし、新潟大会でも好捕を連発した。新発田シニアの出身で「1学年上の斎藤颯さんから声をかけてもらった」と中越に進学。冬場はスイングスピードアップに取り組み、打撃でも力強さを増した。甲子園では「いい投手が相手。持ち味の選球眼でよく球を見て、センター返しを意識し安打を打ちたい」と意気込む。
⑨坂井琢真(さかい・たくま 2年 外野手)
紫雲寺中(新発田シニア) 175センチ78キロ 右投右打
新潟大会では三番打者としてチームトップの打率.579をマーク。4回戦の北越戦では3ラン本塁打を放つなど長打力もある。ただ本人は「場面に応じた打撃が持ち味。チャンスでは後ろにつなぐ」ときっぱり。「甲子園に一番近いと思った」と新発田市から中越へ。「毎年6月にやっている伝統の追い込み練習がつらかったが、仲間と励まし合い乗り越えたことがうれしかった」と話す。甲子園では「ヒットを打ちたい。目の前の相手に勝ち、まずは1勝」。
(取材・撮影・文/岡田浩人 撮影/嶋田健一)