柏崎市にある新潟産業大学附属高校の硬式野球部監督に12月1日から柏崎シニア前監督の吉野公浩氏(49)が就任した。1月3日に柏崎市内で柏崎シニアOBや関係者ら160人が集まり、吉野氏の激励会を開いた。吉野氏は「柏崎から甲子園という目標に向かってチャレンジしたい」と力を込めた。
激励会で挨拶する吉野公浩氏 12月から新潟産大附高の監督に就任した
吉野氏は柏崎市出身で長野・武蔵工大二高から亜細亜大で硬式野球を経験。柏崎市の公益財団法人職員の傍ら、2004年から13年間、中学硬式野球チーム・柏崎シニアの監督を務め、チームを春の選抜大会に8回、夏の選手権大会に4回、計12回全国大会出場を果たし、2011年夏には全国ベスト16に進出した。
吉野氏によると去年9月中旬に新潟産大附高を運営する学校法人から硬式野球部監督の就任要請があったという。「シニアの1、2年生のこともあり、すぐには決断できなかったが、周囲の人と相談する中で背中を押していただいた。人生一度しかない中、高校野球、そして柏崎から甲子園という大きな目標に向かってチャレンジしてみようと決断した」と話す。11月末をもって柏崎シニアの監督を退任し、12月1日から新潟産大附高の監督に就任した。財団職員としての仕事は続け、外部監督として指導をおこなう。
シニアのOBや指導者、保護者など160人が出席した
左からOBで長男の和也さん(早大4年)、高橋竜之介さん(東農大4年)、小黒一輝さん(新潟医療福祉大3年)
激励会は柏崎シニアOB有志が呼び掛け、OBやチーム指導者、保護者ら160人が出席した。日本文理高で2009年夏の甲子園準優勝メンバーで明治大で主将を務めた高橋隼之介さん(24)と弟で仙台育英高で甲子園ベスト16入りを果たした東京農業大4年の高橋竜之介さん(22)、吉野氏の長男で早稲田大で4年間投手を務めた吉野和也さん(22)、昨秋の社会人野球・日本選手権に出場した富士重工の内野手・金沢航己さん(25)ら、吉野氏が野球界に輩出した教え子たちが顔を揃えた。
吉野氏は13年間の監督生活の印象に残る出来事として、「2007年の中越沖地震の直後に全国大会があり、棄権をすることも考えたが保護者や指導者の皆さんのおかげで参加できた。ナゴヤドームで今までにない拍手を受けたことを憶えている」と振り返った。
柏崎シニア監督時代の吉野氏 全国大会12回出場の強豪チームに育てあげた
12月から監督を務める新潟産大附高の野球部について吉野氏は「現在は1、2年生の部員15人と少なく、秋は初戦でコールド負け。どん底から行こうと皆で必死に練習をしている。人数が少ない分、1人1人に掛けられる時間はたくさんある。情熱が続く限り選手と向き合い、『柏崎から甲子園』という大きな目標へ全身全霊を尽くしたい」と挨拶し、大きな拍手が送られた。
乾杯後、吉野氏はOB選手たちとにこやかな表情で談笑。記念撮影などに応じ、激励会は同窓会的な雰囲気に包まれた。またOBを代表して日本文理高の2009年夏の甲子園準優勝メンバー・平野汰一さんからノックバットが贈られた。
出席したOBたちは吉野氏と一緒に記念撮影
OBを代表して平野汰一さんからノックバットが贈られた
出席者と記念撮影
激励会後、吉野氏は取材に応じ、「これだけたくさんの人に来ていただきうれしかった。柏崎から甲子園へ、という言葉が(高校監督就任の)最大の決め手で、これまで自分がやってきたことを評価していただいた。(新潟産大附の)選手たちは最初は戸惑いがあったと思うが、15人の部員のうち5人が卒団生で、『好きな野球をやっているのだから明るくやろう』と話している。今はひたすらバットを振らせている。結果を求められているので相当プレッシャーはあるが、期待をやり甲斐にして頑張りたい」と決意を話した。
◎トヨタ自動車入りの吉野和也投手 「社会人でも日本一貢献を」◎
吉野氏の長男で、3日の激励会に出席した早稲田大4年の吉野和也投手(日本文理高)は卒業後、社会人野球の強豪・トヨタ自動車(愛知県)入りが決まっている。トヨタ自動車は昨夏の都市対抗の優勝チーム。187センチの長身アンダースローから独特の軌道を描く球を武器に「日本一に貢献し、いずれ投手陣の柱になれたら」と意気込みを語った。
社会人野球の強豪・トヨタ自動車入りが決まった吉野和也投手(早大4年)
吉野投手は日本文理高校では控え投手として過ごし、3年夏は新潟大会4回戦で敗退し甲子園出場を逃した。しかし早稲田大学では1年春からベンチ入り。「中学から立ちたかった神宮の舞台で1年春から投げさせてもらい、4年間やり遂げられてよかった。3年春のリーグ戦で優勝し、大学野球選手権で日本一になったことが一番印象に残っている」と振り返った。
特にアンダースロー投手として大きく成長した背景について、「1学年上の捕手・道端(俊輔)さん(智弁和歌山-早大-明治安田生命)が1年春のオープン戦でバッテリーを組んだ時から自分の面倒を見てくださった。道端さんは高校時代からアンダースローの同級生がいて、配球や武器になる球などアドバイスをもらい育ててもらった」と人との出会いが大きかったと強調した。
4年間でリーグ戦33試合に登板し5勝を挙げた吉野和也投手 3年春には日本一に貢献
大学卒業後はトヨタ自動車に入社する。「去年の都市対抗で優勝した強いチーム。2年連続の都市対抗優勝に貢献できるようになりたいし、いずれトヨタの投手陣の柱になれるように精進したいと思う」と決意を述べた。
高校野球に挑戦することになった父親の公浩氏について、「柏崎の野球を盛り上げた存在。これから舞台は変わるが、高校野球で柏崎から甲子園を目標に頑張ってほしいし、いずれ自分の母校の日本文理高校と対戦する機会があったら楽しみ」と笑顔でエールを送った。
(取材・撮影・文/岡田浩人)