昨季まで楽天に在籍し、今季から新潟市の社会人野球チーム・バイタルネットに入社した相沢晋投手(29・巻高出身)が31日、チーム練習に合流した。キャッチボールなど軽めのメニューをこなした後、早速若手投手とコミュニケーションを取りながら、“コーチ役”として若手と股関節を中心としたトレーニングに臨むなど自身のNPBでの経験を伝える役割を果たした。
キャッチボールで感覚を確かめる相沢晋投手(中央)
相沢投手は巻高校を卒業後、石巻専修大を経て、社会人野球の日本製紙石巻に入社。2013年のドラフト会議で楽天から8位指名を受け入団した。最速149キロの直球とシュートなどを武器に、プロ2年目の15年に一軍で5試合に登板し0勝1敗だった。昨季限りで楽天を戦力外となり、その後、新潟市の社会人野球チーム・バイタルネットへの入社が決まった。
新潟市のハードオフ・エコスタジアムの屋内練習場でのチーム練習で、相沢投手は初めて会うチームメイトを前に自己紹介。「好きな食べ物はスイカです」と出身地の西蒲区の特産品を挙げ、笑いを誘った。
チームメイトを前に挨拶する相沢晋投手(中央) 右から2人目が佐藤英司監督
ランニングやダッシュなどのアップを終えた後、投手陣は佐藤英司監督のノックを受けた。その後のキャッチボールでは野手陣が注目する中、相沢投手は徐々に距離を広げながら、下半身の動きやボールのリリースポイントを意識して、1球1球を丁寧に投じた。
キャッチボールの相手を務めた入社3年目を迎えるエース・津花康平投手(25)は「キャッチボールひとつでも意識が違う。近い距離でも球の回転数が多く、低い球を意識して投げている。体の使い方を見てもプロ(を経験した人)は違うと感じた。あの体で150キロ近い球を投げている人なのでいろいろ学べると思う」と元プロの入社を歓迎した。
チームメイトが注目する中でのキャッチボール 下半身の動きを意識したという
その後、相沢投手は若手投手と一緒に股関節や体幹のトレーニングをおこなった。相沢投手は「投手は股関節周りが大切。土台がしっかりしていないと強い球も投げることができないし制球も安定しない」と自身がプロでやってきた練習メニューを一緒に取り組むなど、早くも“投手コーチ”役として手本を示した。
佐藤英司監督は「うまくチームに溶け込んでいて、トレーニングの風景を見てもいい存在になっている。投手にしか分からない感覚のアドバイスもできるのでは」と期待を寄せた。
チームメイトに溶け込みながら、笑顔で練習に取り組んだ
バイタルネットは2014年以来、都市対抗野球と日本選手権への出場を逃している。特に都市対抗は今年、北信越最終予選が新潟市で開催されることが決まっていて、3年ぶりの出場へ燃えている。相沢投手の入社は“起爆剤”として期待されている。
練習を終えた相沢投手は「みんながフレンドリーに接してくれた。(自身の調整については)2月中にはブルペンで投げ、3月のキャンプで試合レベルまで持って行きたい」と今後の調整について話し、地元チームで新たな野球人生の第一歩を踏み出した。
(取材・撮影・文/岡田浩人)