学校側から今年度限りでの退任を伝えられた日本文理高校の大井道夫監督(75)が3日、新潟市西区の同校で報道陣の取材に応じ、改めて「今年の夏までやらせていただきたい」と自身の心境を吐露した。近く、学校を経営している日本文理学園の神田純一理事長と話し合うという。後任の鈴木崇コーチ(36)も取材に対し、「学校側からは4月から(監督就任)と言われたが、(時期が)変わっても対応できるようにと思っている。OBとして大井監督をこのまま終わらせる訳にはいかない」と述べ、大井監督の気持ちを優先した対応を学校側に求めた。
報道陣の取材に応じる大井道夫監督 今夏までの続投を希望している
学校側が野球部員に「年度内での大井監督の退任と鈴木コーチの監督就任」を伝えたのが1月30日。そして年度内での退任が報じられてから一夜が明け、訪れた報道陣の取材に応じた大井監督は学校経営者への不信感を募らせていた。
大井監督は「去年秋の北信越大会で負けた後、確かに『監督として責任を取りたい』と(周囲に)話した。強いチームの時にバトンタッチしたいと考えていた。しかしその後、コーチだった教員が退職するなど情勢が変わり、この態勢では(不十分)と思い、ちゃんとした形で鈴木コーチにバトンタッチしたいと考えた。そこでもう一度、『俺は頑張る』と(野球部関係者に)話した。しかし(1月10日に)理事長から『監督が辞めることは理事会で決まっている』と言われ、その後、私がいない時に野球部員に校長から『4月から鈴木コーチが監督をやる』と伝えられた。監督抜きで伝えることはおかしいし納得できない」と学校経営者側の対応に不満を述べた。
大井監督によると、昨秋去就について話し合った際、学校経営者側から「1月にもう一度話し合いましょう」と告げられたというが、1月10日に面会した際には「監督が辞めることは既に理事会で決まっている」と一方的に告げられたという。「何とかして辞めさせたいとしか考えられない」と大井監督は漏らす。
その上で、「今現在の私の気持ちは、今年の夏(第99回全国高校野球選手権大会)まで監督をやり、秋に鈴木コーチにバトンタッチしたい。これは私の希望で、学校側にお願いする」と今夏をもっての勇退を望んでいることを強調した。大井監督によると3日午前に理事長から電話があり、「もう一度話しをすることになった」という。近く理事長と面会し、改めて自身の希望を伝えることにしている。ただ、「学校側が私に対し“花道”を作ってくれるかは学校に任せるしかない。ただ、私には今いる部員たちに責任がある」とも話した。
大井監督の後に取材に応じた鈴木崇コーチ
大井監督の後に報道陣の取材に応じた鈴木コーチは、「私は“いつ”ということではなく、大井監督から『ここから』と言われた時に(監督就任の)準備をしていこうという気持ちでいた。学校側からは4月から(監督就任)と言われたが、(大井監督の退任の)時期が変わっても対応できるようにと思っている。大井野球に憧れて入学した人間の1人。OBとして大井監督をこのまま終わらせる訳にはいかない」と大井監督の意向に沿った形で学校側が対応することを望んだ。
学校側はこれまでのところ「4月1日から鈴木コーチが監督に就任すると野球部員に伝えたのは事実」とコメントするにとどまっていて、3日に学校で取材に応じたのは大井監督と鈴木コーチの現場関係者のみ。近くおこなわれる大井監督と神田理事長の話し合いで学校側の対応が変わるかどうかは依然、不透明なままである。
(取材・撮影・文/岡田浩人)