日本文理高校は3日、新潟市西区の同校で記者会見を開き、野球部の大井道夫監督(75)が今夏の選手権大会まで指揮を執ることを発表した。学校側が「3月末で契約終了としていたが、理事会で第99回全国高校野球選手権大会まで契約を延長とした。その後は総監督就任の方向で考えている」とする神田純一理事長のコメントを発表した。会見に出席した大井監督は「私の現役として最後である夏の大会へ悔いのないよう、選手の夢である甲子園を目指し頑張りたい」と決意を話した。
今夏まで指揮を執ることが決まった大井道夫監督(右) 左は上野順治校長
会見では冒頭、上野順治校長が神田純一理事長による以下のコメントを代読した。
「日本文理学園は平成29年3月31日をもって、大井道夫氏との監督契約を終了することとしていましたが、先に行なわれた理事会で平成29年8月に行なわれる第99回全国高等学校野球選手権大会に向けた指導を行うことについて契約を延長することと致しました。監督の業務は8月までとなります。その後は、総監督就任の方向で考えています。 日本文理学園 理事長 神田純一」
大井監督の進退を巡っては、去年10月の北信越大会準決勝敗退後、大井監督自身が一度は周囲と学校側に退任の意向を示していた。しかし昨年末に野球部コーチが退職するなどの事態を受け、「Aチーム、Bチームを率いる態勢が整わない」などとして、今夏までの続投を望んでいた。一方で、学校側は「監督退任は既に理事会で決定した」との理由から、1月30日に上野校長が野球部員に「大井監督の3月末での退任と4月からの鈴木崇コーチの監督就任」を伝えた。2月3日に大井監督が報道陣の取材に対し、「今年の夏までやらせていただきたい」と改めて学校側に望んでいた。
その後、学校側と大井監督の間で話し合いが持たれた後、2月中旬に大井監督を含む野球部関係者が集まり、大井監督の今夏までの続投や監督退任後は総監督として3年間新監督を支えることなどを中心に「野球部の要望」としてまとめ、学校側に提出。2月24日に開かれた理事会で今夏までの大井監督の契約延長が承認された。
会見で経緯を説明する上野順治校長(中央) 左は田中利夫副校長
会見では田中利夫副校長が「今回の混乱は双方のコミュニケーション不足によるもの。監督の辞任表明を受けて理事会の承認があったが、その後、監督と学校の意思疎通における連携不足で異なる見解を招き混乱を生じた。2月3日以降、監督の意思を整理し、野球部の意向に沿って今後の態勢づくりを進めた」と説明。上野校長も「コミュニケーション不足、意思疎通がうまくいっていなかったのが最大の原因」と話し、今後の野球部の態勢について、「スタッフについては増やす方向で考えている。(コミュニケーションを)取ってやりたい」と述べた。
大井監督は「私の願いを学校が聞いてくれた。(新潟大会で)優勝して甲子園へ乗り込み、テッペン(全国制覇)に行きたいというのが私の希望」と力を込めた。
会見後、大井監督は今夏まで指揮を執ることを部員たちに伝えた
会見後、グラウンドに立った大井監督は部員たちに今夏まで指揮を執ることが決まったことを報告。「いろいろと心配させて、練習も気持ちの整理がつかなかっただろうが、引き続き(監督を)やることになった。気持ちは1つしかない。とにかく甲子園に行って先輩ができなかったことをお前たちの手で上を目指してやるしかない。改めてきょうからしっかりやってくれ」と呼び掛けると、選手たちは「ハイ」と大きな返事で応えた。
(取材・撮影・文/岡田浩人)