ルートインBCリーグは6日に2019年シーズンが開幕する。新潟アルビレックスBCは新潟市のハードオフ・エコスタジアムで13時から福島レッドホープスと対戦するが、5年目の右腕・前川哲(22・新潟産大附高出)が自身初の開幕投手に抜てきされた。前日となる5日に同スタジアムのブルペンで21球を投げ込んだ前川は「自分がしっかり投げることができれば勝てる」と自信を持ってマウンドに上がる。
ブルペンで感覚を確かめながら投げ込む前川哲(新潟産大附高)
新潟は昨季、前後期ともに東地区3位となり、3年連続でプレーオフ進出を逃している。今季は元日ハム、オリックス投手の清水章夫監督、元巨人捕手の加藤健総合コーチ(新発田農高出)が就任。体制を新たにし、4年ぶりのBCリーグ王者、そして7年ぶりの独立リーグ日本一を目指してシーズンに臨む。
開幕投手に抜てきされた前川は4日朝に大役を言い渡された。当初、首脳陣は長谷川凌汰(龍谷大)の起用を念頭に置いていたが、3日の投球練習中に腰に痛みを感じたと言い、大事を取って開幕での登板回避を選択。前川が開幕投手を務めることになった。前川は「(清水)監督から『開幕やで』と言われ、最初は冗談かと思った。『ホンマやで』と言われ、一気に緊張した」と初の大役の重みを話す。
昨季はシーズン後半に調子を上げ、8月には自己最速となる150キロをマーク。秋のNPB(日本野球機構)ドラフト会議の候補にも名前が挙がったが、指名はなかった。その後、ある球団のスカウトから「左打者が多い打線に打たれることが多いのはなぜ」と指摘され、オフに左打者の内角に食い込むカットボールを習得した。「何試合か投げてみたが効果的だった。少し(打者の手元で)球を動かす感じで手応えがある」と今季に懸ける意気込みを話す。
急きょの開幕起用も「前川は意気に感じている。やってくれると思う」(清水監督)と首脳陣の信頼も厚い。前川は「去年までは投げてみないと分からない不安があったが、今年はオフのトレーニングも満足にでき、試合に臨む不安が一切ない。相手にかかわらず、自分がしっかり投げることができれば勝てる」と言い切る。
2019年シーズンに臨む新潟アルビレックスBC
昨季に続き主将を務める楠本歩(筑波大出)は開幕戦を控え、「いつも通り自然体で臨む」と強調。「目の前の1球に集中し、1試合1試合を積み重ね、優勝を目指したい」と意気込む。
清水監督は「チームが盛り上がるよう、ベンチの選手が常に試合に出れるぞという環境は作りたい。選手が元気なチーム。勝ったらもっと元気になり、勢いが出る」と話す。7年ぶりの独立リーグ日本一へ、チーム一体となって試合に臨む。
新潟の開幕戦は6日(土)13時から、ハードオフ・エコスタジアムで福島を相手に行われる。福島の先発は2年目の左腕・竹脇大貴(信越硬式野球クラブ)が務める。
(取材・撮影・文/岡田浩人)